リクルーティングコラム
採用活動をするなかで、面接の予定があったとしても当日のキャンセルや時間になっても面接に訪れない、俗に言う「面接の直前キャンセル」や「連絡なしの面接辞退」を経験したことがある採用担当者もいるでしょう。
面接の直前キャンセルや連絡なしで面接を辞退されることは採用予定に狂いが生じ、面接にかけた手間が無駄になるのです。
面接の直前キャンセルや連絡なしで面接を辞退される事態の発生を抑えて、面接率を向上させる対策を紹介します。
面接の直前キャンセル、連絡なしの面接辞退の実態と理由
面接の直前キャンセルや連絡なしで面接を辞退する求職者には理由があることがほとんどです。
求職者が面接を直前にキャンセルしたり連絡なしで面接を辞退したりしてしまう理由を知れば、対策できるでしょう。
求職者が面接を直前にキャンセルしてしまう理由や実態を「エン・ジャパン株式会社」のアンケート結果をもとに紹介します。
面接の直前キャンセルは9割の企業が経験
「エン・ジャパン株式会社」が運営する人事担当者向け中途採用支援サイト『 エン人事のミカタ 』で企業に向けて行った「面接前の辞退(ドタキャン)」のアンケートによると、 なんと92%の企業で面接の直前キャンセルの経験があり、求職者の半数以上となる54%が面接の辞退経験があると回答しました。
面接の直前キャンセルの経験がある92%の企業の業種や会社の規模による結果の差異はほとんどないため、面接の直前キャンセルの経験があり、面接率の向上についてはどの企業でも問題になっているのです。
6社以上での辞退をした経験があるという回答者は9%
「6社以上での辞退をした経験がある」という回答者が9%と少なくない数字であったため、一部の求職者が辞退経験がある企業数を引き上げている実態がみえてきます。
求職者の面接辞退のタイミング
面接の辞退を経験したことがある求職者の中で 「企業へ辞退の連絡を面接の当日にしている求職者は14%」となっており、決して少ない人数ではありません。
面接当日以外の面接自体のタイミングは、 求人へ応募して企業から面接の連絡が来る前に面接を辞退する割合が31%、前日までに面接を辞退する連絡をしている求職者が70%です。
さらに、面接の当日までに企業へ辞退の連絡をしない求職者のうち10%は辞退の連絡をしないという結果があります。
求職者の辞退理由
求職者が辞退の連絡をしなかった理由では「辞退理由の言い方が分からなかった」が1番多い理由でした。
つまり当日辞退のなかには「理由がなかった」という求職者が26%もいるということになります。
「企業側も不採用通知をしてこないから、自分も連絡はしない」という回答もあり、ビジネスマナーをわきまえていない求職者が少なくない、ともいえそうです。
面接面接の直前キャンセル、すっぽかす理由
求職者に向けて「エン・ジャパン株式会社」が行った「面接前の辞退(ドタキャン)」アンケートでは、 求職者が面接の直前キャンセルする理由のうち「応募後に検討し直した結果、辞退をする」が、辞退の連絡をするタイミングに関わらず1番多い結果でした。
意欲的な求職者は応募後に企業研究をすることがあり、
・ネットでの評判が良くなかった
・求人内容が希望通りではなかった
・行きたい別の企業を見つけた
という理由で応募してから面接までの間に、面接の辞退をすることがあるのです。 応募をしてから面接までの間に
・他社から内定が出た
・他社の選考が通過した
ということも求職者が面接を辞退する理由のひとつとなっています。
また面接当日に体調が悪くなったり、事故にあってしまったりという不測の事態によって面接を辞退することもあるでしょう。
不測の事態であれば、日程の再調整を企業に依頼することも可能であることが多いですが、そのまま辞退をしてしまう求職者も少なくありません。
面接の連絡がきてから前日までに辞退する理由のなかには
・企業側の応対が悪い
・面接日の都合がつかない
・面接の連絡が遅い
という理由があります。
求職者の予定の変更だけではなく、企業側の対応に不満があり求職者が面接を辞退することも少なくないようです。
企業からの連絡のタイミングが深夜や祝日にきた場合、企業がそのような時間や日に業務をしていると思われ辞退されることもあるため、求職者に企業が連絡する時間は考えたほうが良いでしょう。
面接率を下げている面接前の駄目なアプローチ
面接率を下げるのは、求職者だけに原因があるわけではありません。
企業側の対応に問題があるため、面接率が下がっている可能性も考えられるでしょう。
企業が行ってしまう、面接率を下げる可能性がある駄目なアプローチを紹介します。
テンプレートだけで対応している
求職者は不特定多数の人に向けたような典型的な連絡を企業からもらうと、機械的なやりとりに感じてしまい、面接を辞退するときの罪悪感がなくなることがあります。
機械的な連絡が企業から来ることによって、求職者は丁寧な対応をされていないと感じてしまうのです。
機械的なやりとりを企業とした結果、求職者はその企業に就職する意欲が少なくなり、面接を辞退するという流れになってしまうこともありえます。
企業が求職者と連絡を取るときは採用管理のテンプレートにあるようなメールではなく、求職者ひとりひとりに合わせた丁寧なメールを送るように心がけることがおすすめです。
面接前のフォローが不十分
求職者が応募してから面接までの期間が長い場合、求職者の気持ちが変わってしまい面接を受ける意欲がなくなってしまうことがあります。
応募から面接までの期間をなるべく短く設定することで、求職者は意欲的に面接を受けることができるのです。
また面接の日程についての連絡がくるまでの期間が長ければ長いほど、求職者は企業に対して不安を募らせてしまうかもしれません。
面接の日程がなかなか決まらなかったとしても、なるべく早く連絡をするように心がけることが大事です。
求職者と面接日程を調節する際のメールに面接場所の住所や当日の連絡先などの情報が記載されていないと、求職者は大切にされていないと感じてしまい面接を受ける意欲が減退してしまうことがあります。
また、連絡の最後のやりとりが求職者で終わっている場合は丁寧な対応がされていないと感じてしまうため、求職者が知りたい情報をメールに具体的に記載し、求職者ではなく企業がやりとりの最後となるように気をつけましょう。
面接率を向上させるためにやっておきたい対策
ここからは、実際に面接率を向上させるために今日から使える対策やテクニックを紹介します。
面接の直前キャンセル防止のために最低限やっておくべきこと
面接の直前キャンセル防止に最低限やっておくべきことがいくつかあり、その中には今すぐにできるものもあります。
丁寧なやりとり
求職者とやりとりするときは、どのような内容であってもなるべく丁寧なやりとりとなるように心がけましょう。
求職者との連絡手段はメールが基本となることが少なくありませんが、求職者に電話をかけるときはメールを使って要件を事前に伝えることで「丁寧な対応をされている」と求職者に受け止めてもらいやすくなります。
連絡をする時間の調整
電話をかける時間は、事前に求職者と調整する必要があります。
電話はリアルタイムのやりとりとなるため、求職者の都合がつかなければ電話を利用した求職者とのやり取りはできません。
求職者の都合にできるだけ合わせた丁寧なやりとりをすることで求職者は安心し信頼できると感じることができ、面接の直前キャンセルや連絡なしの面接辞退を防ぐことができるでしょう。
面接までにかかる時間
求職者時は面接をするまでの期間に他の企業から内定がもらえたり、選考が進んだりすすんだりすると気持ちが変化してしまいます。
面接を受けるまでに時間がかかってしまうと、求職者の自社に対する気持ちが変化してしまい面接率の低下につながってしまうことも少なくありません。
求職者の意欲がある内になるべく早く、面接を設定することが重要です。
求職者との連絡
面接までの間に求職者から事前質問が送られてくるなら、その求職者が企業に強い興味を持っていると解釈できるでしょう。
求職者から事前質問があったときは他の業務が忙しかったとしても、なるべく早めに返信することを心がけることをおすすめします。
週末や業務後など連絡が取れない時間がある場合は、対応可能な時間をメールの署名欄などにあらかじめ記載しておきましょう。
面接日の前日に面接の日時確認の連絡をすれば、求職者が面接を忘れていたり日付を間違えていたりということを防ぐことができます。
面接率をさらに向上させるテクニック
これまで紹介した面接の直前キャンセル防止の最低限のことに加えて、さらに面接率を向上させるテクニックがいくつかあります。
面接場所までの道案内を作成する
求職者に面接の案内のメールを送るときには、面接場所までの最寄り駅からの道案内を作成することがおすすめです。
「最寄り駅から迷って会社にたどり着けない」という理由で連絡なしの面接辞退が防げるうえ、求職者に丁寧な印象を与えられることから、面接率の向上につながります。
面接官の情報を伝える
面接官がどのような人間であるかは求職者はわからないことがほとんどですが、面接官の顔と名前が事前に分かっていれば、求職者に安心感を与えます。
事前に面接官となる人物の役職や名前を明かすことで、役職を持っている人間がわざわざ時間を割いてくれたと思わせることができ、面接を連絡なく辞退することに罪悪感を覚えやすくなるでしょう。
面接時に飲みたい飲み物を聞いておく
面接時に飲み物を用意していることを伝え選択肢を与えることは、面接に手間をかけていることを求職者に伝えるためには有効な手段です。
求職者の不安を払拭できるよう行動していることや企業の面接に対する姿勢を伝えることによって、連絡なしで面接辞退することに罪悪感を覚えてもらうことができます。
面接後のフォローも重要
面接をしたとしても、求職者に内定を辞退されてしまうこともあります。
ここからは面接率を向上させたあとに、内定を辞退されないテクニックを見ていきましょう。
面接後のフォローアップ方法
採用活動は面接が終了すれば終わりではなく、面接後の求職者へのフォローアップが内定後の辞退や企業の評価を下げないためには重要です。
求職者は企業に採用されなかったとしても顧客になる可能性もあれば、求人情報共有サイトで評価を下げる可能性もあります。
面接が終了したら求職者へ面接に来てもらった御礼を伝え、次の選考のステップや結果の連絡手段を明確にし、面接後の求職者に伝えることが大切です。
企業が丁寧な対応をすることで、求職者からの企業評価が高められ内定後の辞退率が低くなる効果が期待できます。
内定辞退を防止するテクニック
待遇や福利厚生を事前に確認できるようにしておく
面接の時や内定時に待遇や福利厚生の内容を説明されると、内定者は「本当にこの会社に就職していいのだろうか」と不安になることがあるかもしれません。
待遇や福利厚生は応募するよりも前に求職者が確認できるようにしておく必要があります。
気軽に相談できる社員を選んでおく
内定辞退を防止するためには、求職者と企業の間で適切なコミュニケーションを取ることが大切です。
求職者が本当にこの企業の内定を受諾してもいいか迷っているときに、気軽に相談できるような社員がいると心強いでしょう。
相談できる社員は前職の業界や業種が同じだったり、母校のOB、OGであったりという共通点がある社員を選ぶのがおすすめです。
例えば、社員が入社したときから今までにあったエピソードを求職者が聞くことで、新しい会社に就職する不安が軽くなることもあります。
これから入社する会社の社員と相談をすることで、求職者は丁寧な対応をしてもらっていると感じたり、疑問や不安が解消されたりすることにつながるのです。
内定した同士や求職者同士が交流できる場を用意しておく
新卒採用などで一斉に採用する場合は、求職者が気軽に参加できるイベントなど内定者同士でコミュニケーションがとれる場所を提供しましょう。
知り合いができれば、就職前の相談ができ内定を辞退しにくくなるメリットがあります。
飲み会や自社が参加しているイベントへの招待だけではなく、実際に社員が働いている様子を見ることができる社内見学が効果的です。
社内見は会社の雰囲気を具体的に伝えることができるだけではなく、社員との交流や社長を始めとした社内の重役が個人に期待していることをアピールできます。
求職者にアピールするときは、全体に向けて伝えるよりも個別で伝えて求職者のために時間を取ったことを直接伝えることが重要なポイントです。
まとめ
面接率は大がかりな準備や予算がなくても、少しのフォローや心がけで向上させることができます。
今日から面接率を向上させるためのテクニックを実践することも可能です。
テクニックの中でも、コミュニケーションは面接率の向上だけではなく内定後の辞退を防ぐ役割もあります。
コミュニケーションをとるうえではなるべく丁寧にやりとりを行い、求職者を会社が大切に思っていることを伝えましょう。
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※この記事は、2021年4月現在の情報を元に作成しています。