リクルーティングコラム
採用管理システムの導入を考えている人の中には「どのようなサービスがあるのかわからない」、「自社に最も適した採用管理システムを利用したい」と感じている人もいるでしょう。
採用管理システムとは、求人募集の段階から応募者の個人情報の管理、選考、内定までの一連の業務を管理・サポートするシステムです。
採用管理システムにはさまざまな種類があり、採用方法や管理したいデータによっても選ぶべきシステムが異なります。
この記事では自社に適した採用管理システムの概要やシステムを導入するメリット、採用管理の選び方について見ていきましょう。
採用管理システムの基礎知識
ここでは、採用管理システムがどのようなものか、また採用管理システムで管理できる項目や特徴について解説します。
採用管理システムとは
採用管理システムは英語でATS(Applicant Tracking System)といい、企業が人材を募る段階から採用に至るまでのさまざまな業務や個人情報などを、まとめて管理できるシステムです。
応募者の数や応募者の個人データ、面接の日程などを管理でき、システム内で応募者と連絡を取り合うこともできます。
採用管理システムを使えば応募者の情報を採用を担当するチームメンバーのほか、面接官と共有できるため、履歴書のコピーを渡す手間を省けるだけでなく、面接後の評価や進捗状況を企業内で簡単に共有できるのも採用管理システムの大きな特徴です。
採用管理システムが管理できる項目・特徴
採用管理システムで管理できる、4つの主な項目の特徴を見ていきましょう。
求人案件の管理
採用管理システムを使うと、企業が自社の採用サイトを通して求職者に公開している求人案件に関する情報を管理できます。
また、複数の部署で募集をしている場合や他の媒体に求人情報を公開している場合でも、採用管理システムを使えば一括して管理でき、応募者を広く集めることが可能です。
以下のような求人案件に関する項目をまとめて管理することで、自社の採用状況を把握しやすくなるでしょう。
・求人情報
・予定している採用数
・採用が必要な部署、職種
・求める人物像
・募集期間
・求人情報を公開した媒体名とその数など
求職者情報の管理
企業は、個人情報の取り扱いに十分注意した上で応募者の履歴書や職務経歴書を管理しなくてはなりません。
採用管理システムには、閲覧できる人を限定するために閲覧者の登録をしたりアクセス権の付与ができたりする機能があります。
事前に大事な情報へのアクセス権を設定することで閲覧する人を制限できるだけでなく、情報漏洩防止にも役立つでしょう。
選考状況の管理
応募者ごとに選考の進捗状況を管理できるのも、採用管理システムのメリットといえます。
また、採用業務に関わるメンバーがシステム上で採用試験の評価を把握できることから、採用の合否を決める際に役立つのです。
また採用管理システムを使うと評価基準を客観的に見ることができるため、面接官個人の主観に左右されることなく社内で情報共有ができます。
試験の日程や選考結果の通知など、応募者との迅速なやりとりができる採用管理システムもあり、必要に応じて選択すると良いでしょう。
採用管理システムの導入で得られる4つのメリット
採用管理システムを使うメリットは、作業の効率化やノウハウの蓄積です。
採用にはフェーズごとにさまざまな業務があり、応募者の人数が増えれば増えるほど、業務は複雑化します。
これを解決してくれる1つの方法が採用管理システムです。
では、具体的にどのようなことができるようになるのか、システム利用の採用活動における課題から考えてみましょう。
採用にかかわる手間を省ける
採用活動はいろいろとやることが多く、募集ページの作成から最終面接までさまざまな手順があり、関係する担当者もその都度変わる場合があります。
仕事内容もデジタルからアナログまでさまざまですが、時間も予算も限られているなか、できるかぎりスピーディに効率よく進めなくてはなりません。
ここが採用活動の難しいところです。
採用フロー全体としては、まず採用計画を立て、広告等で募集を行い、会社説明会を企画・開催し、書類選考や面接を実施し、採用が決まったあとは内定者フォローなど、さまざまな過程を経て、ようやく一人の人を採用できます。
各段階で行う業務も細かく、たとえば募集ページを作成したとしても、どれくらいのアクセス数があり、応募がどれだけあったのかを把握し、施策の成果を追っていかなくてはなりません。
一人ひとりの応募者に対しては、採用フェーズごとに適切な対応をすることも必要です。
そして、これらは日々変化していくデータであるため、人手かつ紙ベースで管理することは容易ではありません。
この点、採用管理システムであれば、応募者が多数いても一括管理ができ、毎日データを上書きする手間が省けます。
どんな応募者がいるのかを募集している部門や経営陣と共有したり、面接の評価を他の担当者に共有したりするのも簡単です。
応募者ごとの選考状況もすぐに確認することができるため、社内の報告業務を減らしつつスムーズに業務を進められ、連絡漏れによるミスも防止できます。
※あわせて読みたい・デキる担当者は知っている!成功する採用スケジュールの基本と作成ポイント
採用活動を分析するためのデータを蓄積できる
最適かつ効率的な採用活動をするには、採用に至った成功パターンを持つことが重要です。
募集サイトの原稿はどんなことをアピールしたか、あるいはどんな媒体を使って求人し、その結果はどうだったのか、実際に採用に至った人はどんな経路で応募してきたのか……といったことを分析できれば、コストパフォーマンスの高い採用活動ができるようになります。
そのためには、採用活動のデータをできるだけ多く集めなければなりません。
しかし、人手に任せるだけでは、分析に必要な量のデータを集めるのは至難の技です。
そこで、採用管理システムが活躍します。
採用管理システムなら、募集経路から採用までのデータをすべて簡単に管理できるのです。採用管理システム単体ではなく、システムで集積したデータを別のサービスで分析できるようにCSVファイルでデータ出力できるものもあります。
専用のITインフラや開発の必要がない
「採用管理システムが必要ならば自社で作ればいい」と考える会社もあるでしょう。
しかし、それは賢明な選択ではありません。なぜなら、システムを一から自社で構築するのはコスト面から考えて現実的ではないからです。
自社内にシステム開発を行えるだけのスキルと経験を持つ人材を選ぶところからスタートしなければならないため、完成まで非常に時間がかかります。
では、システム構築を諦めなければならないのかというと、そうではありません。
幸いなことに世の中にはすでに優れたシステム・サービスが提供されています。
よほど特殊な募集でないかぎりは、既存のサービスやシステムをうまく活用するのが最も早く成果を出せる方法といえるでしょう。
採用管理システムの最近の主流は、初期費用を抑えられるクラウド型のサービスです。
クラウドであるため自社でサーバを持つ必要もなくすぐに利用できますし、一般の人でも利用しやすいように工夫されていることから、プログラミングなどの専門知識も必要ありません。
大きなストレスを感じることなく、スムーズにシステムを導入できるのがメリットです。
採用のベストプラクティスを相談できる
ただ、一般の人が使いやすくできている採用管理ツールといっても、誰でもすぐに使いこなせるとは限りません。
そのため、どのようなシステムであっても最初のうちは使えるようになるまでしっかりサポートしてもらう必要があります。
採用管理システムを提供している会社を選ぶ際は、機能面だけでなくサポート面も考慮すべきでしょう。
アフターフォローがしっかりしていない会社を選んでしまうと、せっかくシステムを導入したのにすぐに使えないことになり本末転倒です。
サポート面を重視して比較検討する際には、使い方のサポートがあるのはもちろんのこと、広く採用活動についてアドバイスや提案をしてくれる会社を選ぶことをおすすめします。
自社の業界ニーズにあった採用成功ノウハウを持ち、広告や募集内容、応募フォームの作成、面接のノウハウなど、採用に関するさまざまな悩みに対して真摯に相談に乗ってくれる事業者にまかせるのが良いのではないでしょうか。
採用管理システムの導入で役立つ機能6つ
採用管理システムは、人手や紙ベースの管理ではできないことができるようになる優れものです。
では、具体的に採用管理システムにはどのような機能があるのでしょうか。
詳細な機能は製品により異なりますが、いくつか代表的なものを紹介します。
募集サイトの作成
採用管理システムには、募集サイトの作成が自社でできる機能が備わっているものがあります。
現在、採用活動の多くがネットで行われており、特に募集サイトの作成はほとんどの会社が実行している重要な採用施策です。
ただし、外部に制作を委託すると大きな費用がかかったり、修正の度に依頼が必要となったりと手間が増えてしまいます。
また、募集サイトは運用も重要であるため、できるなら自社で作成するのが理想です。
自社にプログラム知識がある人がいなくても求人票の内容や応募フォーム等まで手軽に作れるかどうか、特別なスキルがない担当者でも作成できるかどうかチェックしましょう。
どこまで自分たちでできるのかを確認しておくことが大事です。
どうしてもコンテンツの制作を自分でできない、あるいはコストをかけても専門家に任せたい場合は、プロに頼めるオプションサービスの利用をおすすめします。
そのうえで、小さな修正は自社でもできるようにするというのもいいでしょう。
※あわせて読みたい・導入企業増加中!応募が増えると話題の新しい採用方法【採用サイト】のすべて
募集広告の管理
採用活動で必ずといっていいほど利用するのが募集広告です。
採用にかけられる予算には限りがあるため、費用対効果の高い広告を出すことはどの会社にとっても重要課題でしょう。
したがって、採用管理システムを検討する際には、どこまで広告のパフォーマンスを検証できるかが大事です。
たとえば、最近流行りの「indeed」や「求人ボックス」などの求人検索サイトへの出稿管理機能や結果の分析機能があれば、パフォーマンスの最適化につなげることができます。
Indeedは入札型の求人検索サイトで、クリック・閲覧されてはじめて広告料金が発生する「クリック課金型」という方式を採用しているため、クリック単価は入札形式で決まり、そのときの状況次第で変動する仕組みです。
こうしたIndeedなどの広告を管理していく際にはデータの分析・運用が重要になるため、データ管理ができるシステムは非常に役に立ちます。
募集内容に応じた担当者の割り当て
職種ごとの採用を行っている会社は多いですが、応募ページや応募先は職種でわけずに1箇所であることが多いはずです。
いったん一括で受け入れて、そのあと社内で担当者に振り分けるという作業をしているところが多いのではないでしょうか
これは、応募者が少ないなら問題ありませんが、数が増えるほど振り分けに手間と時間がかかります。
理想は、職種ごとに採用担当者が異なる場合は、募集内容に応じて担当者・関係者へ通知を割り振ることです。
採用管理システムにはこの振り分け機能があります。
この機能があると応募者データが混乱することなく確実に担当者に届くため非常に便利です。
採用管理システムを入れるなら、この機能がついているかどうかをチェックしてみましょう。担当者と応募者の面接日程の調整
応募者を面接する場合には、応募者と社内の関係者とのスケジュールを調整する必要が出てきます。
基本中の基本の業務ですが、応募者が多くなればなるほどそう簡単ではありません。
関係者全員の日程を合わせるだけでも大変なのに、それを管理し、いつでも誰でも確認できる状態にしておく必要があります。
スケジュール変更に柔軟に対応しなければならない場合も出てくるでしょう。
きちんと担当者を決めて連絡方法を一本化しておかないと、連絡漏れのリスクが高まり、採用活動に大きな支障が出るおそれがあります。
こうしたスケジュール管理はシステムが得意とするところです。
誰がいつ何をするのかが一目で把握できるため、連絡ミスなどを防ぎ、スケジュール通りの採用を行えます。
Googleカレンダーなど、いつも利用している外部サービスとの連携ができるとより効率的です。
採用活動のためだけに別のツールを入れたり覚えたりすることがないため、採用担当者の負担を軽減できます。
応募者データとコミュニケーション機能
採用管理システムの機能でとても便利なのが、応募者のデータと採用プロセスにおけるメッセージ履歴を参照できる機能です。
一人の人に対して応募者の段階と採用者の段階とでデータをわけて管理してしまうと、応募や面接のときの情報にすぐにアクセスできず、調べ直す手間がかかってしまいます。
一人の求職者に対して応募から採用、入社までの全データを一元管理できれば、非常に効率的な採用活動になり、入社後のコミュニケーションもスムーズです。
こうした連携作業はやはりシステムの得意分野です。全データをまとめて参照できるため、直接の採用担当者以外の社員に内定者に関する情報を周知することもできます。
分析のためのデータ出力
採用活動は、戦略的に行わなくてはなりません。どんな戦略が良いのかは会社ごとに異なりますし、状況も刻々と変わるため、これで良いという正解はありません。
それぞれの会社が自社のニーズを考えながら、PDCA(Plan:計画→Do:実行→Check:評価→Action:改善)サイクルを回し、改善をし続けることが重要です。
募集を行うなら、どういった募集内容や広告媒体が有効であるかなどの分析をし、今後の採用活動に活かすことが求められます。
たとえば、広告一つとっても、どの広告媒体を選ぶのか、広告料金は適切か、募集内容は魅力的になっているか、応募フォームの項目は必要かつ十分かといったことを、ユーザーデータをきちんと集めて分析し、よりよい採用につなげる必要があるのです。
採用管理システムを利用すれば、こうした分析に必要なデータを蓄積し、いつでも取り出せる状態にしておけます。
採用管理システムの選び方
採用管理システムは、どのように選べばよいのでしょうか。
ここでは、採用管理システムを選ぶうえで重要な6つのポイントを解説します。
採用したい人材に適しているか
新卒、中途、アルバイト、パートなど採用方法によって、業務フローやアプローチ方法は変わります。
そのため「採用したい人材をどのように採用したいか」によって選ぶべき採用管理システムが異なるのです。
例えば新卒採用の場合、大勢の学生と接する必要があるため、応募者の情報や選考の管理に優れているシステム、また普段から学生が使っているLINEで直接やりとりができる機能があるシステムが良いでしょう。
中途採用の場合はいくつもの求人媒体を利用することが多いため、求人管理や仲介管理に優れているシステムや、社員とつながりのある人材にアプローチをかけて自社の選考に応募してもらい、結果に応じて採用するようなリファラル採用(自社の社員に人材を紹介してもらう採用手法)に優れた機能があるものが向いています。
アルバイトやパートがメインの採用の場合は、24時間申し込みができる機能やWeb面接機能があるシステムを選択するのが良いでしょう。
自社に必要な機能があるか
採用管理システムには以下のような応募者を管理する機能と応募者の募集から採用までの流れを効率化する機能とに大きく分けられます。
・求人媒体との連携機能
・求人募集ページの作成機能
・メールの自動配信機能
・LINEとの連携機能
・カレンダーとの連携機能
・適正試験との連携機能
・説明会や面接の日程を管理する機能
採用管理システムには様々な機能が搭載されているため、「採用活動のどの部分を効率化させたいか」、「より重要視したい機能は何か」など、採用管理システムを導入する目的を明確にすると、選びやすくなります。
安全に使えるセキュリティは備わっているか
採用管理システムでは個人情報を管理することも可能ですが、万が一個人情報が流出してしまっては企業の信用を損ねることになりかねません。
そのため、セキュリティ対策が万全に行われているシステムを選択することが重要になります。
セキュリティ対策については、下記を参考にして採用管理システムを選びましょう。
・SSLを用いた暗号化通信が使用されているか
・データのバックアップが行われているか
・個人情報の保護を目的としたプライバシーマークが取得されているか
・情報資産の保護のためのISMS認証を取得しているか
操作は快適か
採用業務の効率化を図るための採用管理システムですが、「処理が遅い」、「不具合が生じる」などシステムの操作性が悪かったり、使いにくかったりしては作業効率が悪くなり、かえって採用業務に時間をかけることになってしまいます。
操作はできるだけシンプルなもので、誰が使っても操作しやすいシステムを選択しましょう。
採用業務をより効率的に行いたいなら、採用管理システムに現在利用しているサービスや今後の利用を検討しているサービスとを連携させることもおすすめです。
例えばLINEやメールを使って応募者とやりとりができる採用管理システムと連携できれば、応募者ごとの選考状況が把握しやすくなり、応募者との連絡も円滑に行えます。
採用業務を効率的に進めるために求人媒体の情報を管理したいのであれば、求人サイトと連携できるシステムを選ぶとよいでしょう。
サポート体制はあるか
採用管理システムを利用する場合、「マニュアルを読んでも操作方法がわからない」「システムにトラブルが起きてしまった」といった場合もあり得るでしょう。
システムを使うにあたって何らかのトラブルが生じた場合でも、素早い対応をしてくれる採用管理システムを選択することが重要です。
採用管理システムの種類によっては24時間対応してくれるものもあります。
また、サポート体制が有料か無料かも確認が必要です。
サポート体制が備わっていることで、万が一システムトラブルが起きても採用管理業務を滞らせることなく行うことができるでしょう。
・システム導入の支援
・システム導入後のフォロー
・ヘルプデスクの対応
自社に必要なサポートを洗い出しておくと、採用管理システムを選ぶときに役立ちます。
コストは適正か
採用管理システムの利用料は、応募人数により変動するもの、サービスや機能によるもの、無制限のものなどさまざまです。
価格の安さだけで選ぶと、必要な機能が付いていなかったり別料金になったりすることがあるため注意が必要になります。
必要な機能に見合った導入・運用コストになっているか確認しましょう。
まとめ
採用管理システムを導入すると、応募者に対する採用業務を効率的に行ったり、業務上のミスを防いだり、これまでのデータをもとに今後の採用業務を改善できたりするというメリットがあります。
採用管理システムを導入することで採用担当者は、面接といった応募者とのコミュニケーションや人物の選考にじっくり時間をかけることができるでしょう。採用管理システムにはさまざまな種類があるため、操作のしやすさや信頼できる強固なセキュリティが備わっているか、連携できる機能は何かなどを全体的に比較しながら、自社に最も適した採用管理システムを選択することをおすすめします。
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※この記事は2022年4月の情報を元に作成しています。