リクルーティングコラム
薬剤師になるには国家資格である薬剤師免許が必要で、患者に薬の説明を行ったり薬の相談に乗ったりするため、コミュニケーション能力も必要になります。
誰でも薬剤師になれるわけではないため、「薬剤師を採用したい」と思ってもなかなか思うように採用活動が進まない方もいるでしょう。
この記事では、薬剤師の採用コストの平均相場や採用コストを抑える方法について解説します。
薬剤師の採用コストの平均相場
採用コストは人材採用にかかる費用を指し、社外に支払う費用の「外部コスト」と、社内で発生する費用の「内部コスト」に分かれます。
ここからは採用コストの内訳や、薬剤師の雇用形態別採用コスト平均相場についてみていきましょう。
採用コストとは?採用単価の内訳
外部コスト
社外に支払う採用コストである外部コストには、以下のようなものがあります。
・人材紹介会社の使用料や成功報酬
・会社説明会や面接時の会場費
・パンフレットや会社案内、採用サイトの制作費
・内定者への外部研修費用
外部コストは採用コストの大半を占めることが多く、ひとつひとつの費用が大きいため、削減できないかを見直すことで採用コストの削減余地があるかどうかを洗い出せるでしょう。
採用サイトの作成など、社外に依頼していた業務を社内で行うよう変更するだけでも、外部コストを大幅に削減することが可能です。
内部コスト
社内に支払う採用コストである内部コストには、以下のようなものがあります。
・内定者との会食費
・内定者の引越し費
・応募者交通費
面接回数や面接人数を減らすことで内部コストの削減ができますが、安易に内部コストを削減してしまうと内定辞退や早期退職につながる恐れもあるため、注意が必要です。
雇用形態別|薬剤師の採用コスト平均相場
アルバイト・パート
求人ボックス給料ナビ「薬剤師の仕事の年収・時給・給料」によると、薬剤師のアルバイト・パートの全国平均時給は1,984円で、厚生労働省の「令和3年賃金構造基本統計調査」によると2,414円になります。
薬剤師の転職サイトであるヤクマッチによると、薬剤師の職場別の時給は調剤薬局が2,000〜2,300円と1番高額になっていることがわかりました。
引用:ヤクマッチ「【職場別】パート薬剤師の平均時給」
派遣社員
派遣サービスを利用すると「派遣費用」「マージン」が発生し、派遣費用には、派遣スタッフの給与や社会保険料などが含まれます。
マージンは派遣会社に支払う費用で、派遣先企業は派遣会社にマージンを含んだ金額を派遣会社に支払う仕組みです。
薬剤師のマージンは高額な場合が多く、厚生労働省の「令和2年度労働者派遣事業報告書の集計結果(速報)」によると、薬剤師の派遣費用相場は41,980円と先業務で1番高額になります。
正社員
株式会社リクルートの「就職白書2020」によると、全業種の新卒の平均採用コストは93.6万円で、中途の採用のコストは103.3万円と中途の採用コストの方が高額です。
薬剤師の転職相談所ファーマシストライフによると、インターネットに薬剤師の求人広告を掲載する求人掲載費の相場は約20〜50万円、フリーペーパーに薬剤師の求人広告を掲載する場合の相場は約3万円になります。
このように正社員で薬剤師を採用する場合、数十万円単位での採用コストが発生すると考えておく必要があるでしょう。
薬剤師の採用コストを抑える採用方法
ここからは、高額になりやすい薬剤師の採用コストを抑える方法を紹介します。
薬剤師の採用コストを抑える採用方法
厚生労働省が2019年に実施した「医療・介護分野における職業紹介事業に関するアンケート調査」によると、薬剤師の採用方法として最も多いのは人材紹介会社を利用する方法です。
引用:厚生労働省「医療・介護分野における職業紹介事業に関するアンケート調査」
人材紹介会社には、ひとり採用できた場合、採用決定者の年収の約3割を「成功報酬」として支払います。
採用したい人材が高難易度の資格を保有していることが必須の場合や、経験豊富で即戦力になるハイクラス人材の場合、人材紹介会社を利用する方が短期間で採用コストも安く済む点がメリットです。
求人サイト
採用募集を行う企業が求人募集広告を掲載し、求職者からの応募を待つ採用方法が求人サイトです。
求人サイトに掲載することで、多くの求職者に求人情報を見てもらうことができるとともに、紙媒体より多くの情報を掲載できるのが特徴でしょう。
無料で求人広告を掲載できるサイトを活用できれば、大幅な採用コストの削減につながる可能性があります。
求人ポータルサイト
「薬剤師専門サイト」のように業種に特化している求人ポータルサイトは、「病院」「ドラックストア」などの職場別検索も行え、求職者が自社の求人情報にスムーズにたどり着けます。
薬剤師の求人情報に絞った求職活動を行っている求職者の目に留まりやすいのがメリットです。
リファラル採用
リファラル採用とは、自社で働いている社員の紹介で採用を行うことです。
すでに働いている社員の紹介で、企業の実情を理解した上で採用試験に臨むため、入社後の乖離が起きにくいのも特徴といえます。
紹介した社員に紹介料を支払う場合もありますが、採用コストが安く済む場合が多い点と、転職市場に参加していない優秀な人材を獲得できる可能性がある点が大きなメリットです。
ダイレクトリクルーティング
ダイレクトリクルーティングとは、求人サイトや求人ポータルサイトのように求職者が応募してくるのを待つような「待ち」の採用活動ではなく、採用したい人材を探し企業側から直接アプローチする「攻め」の採用活動です。
ダイレクトリクルーティングは採用活動のすべてを自社で行うことも可能なため、大幅な採用コスト削減が期待できるでしょう。
ダイレクトリクルーティングはいつか転職することを視野に入れている「潜在層」にもアプローチが可能で、転職市場に参加していない人材の確保も望めるのがメリットです。
ソーシャルリクルーティング
ソーシャルリクルーティングとは、TwitterやFacebook、InstagramなどのSNSを使った採用活動です。
求人サイトのように、わざわざ登録する必要もなく、普段プライベートでも使っているSNSを利用し応募するため、応募のハードルが低くなり応募しやすい状況をつくりやすいでしょう。
SNSの公式アカウントの作成だけで求人募集ができるため、採用コストを抑えることができる点と、SNSアカウントを通じて面接だけでは分からないような応募者の人柄も垣間見ることができる点がメリットです。
※あわせて読みたい
【薬剤師採用の基本を押さえよう。採用動向から採用方法・コツまで】
薬剤師の採用コストを抑えるコツ
ここからは、薬剤師の採用コストを抑えるコツを説明します。
早期離職を防ぐ
エン・ジャパン株式会社が2019年に実施したアンケート「中途入社者が退職に繋がりやすいのは、入社後どれくらいの期間ですか?」によると、中途採用で入社した社員のうち、退職した人の半数以上が1年以内に退職していることがわかりました。
引用:エン・ジャパン株式会社「中途入社者が退職に繋がりやすいのは、入社後どれくらいの期間ですか?」
株式会社マイナビが行ったキャリアアドバイザーによる聞き取り調査が以下で、早期退職を防ぐには、面接時には職務内容などをしっかりと伝え、内定後の対応も重要であることがわかります。
引用:メディカルサポネット「入社者定着レポート【薬剤師】」
株式会社マイナビが実施した「転職理由」アンケートによると「給与・待遇」「雇用形態・働き方」「労働時間・休暇」が高い割合となっていました。
「週休2日」では、求職者がアピールポイントと思っていない場合がありますが、ドラックストアといった中には年間休日数が少ない場合があります。
他の薬剤師の求人票も参照し、福利厚生が充実しているとアピールすることで応募数も増え、離職率も下がる可能性があるでしょう。
引用:メディカルサポネット「マイナビ薬剤師にはどんな登録者(求職者)がいるの? 都道府県別に公開!!」
求人広告媒体サービスを見直す
採用コストを下げるためには、求人広告媒体の見直しも効果的です。
例えば「都内の採用がメイン」の媒体に地方の求人情報を載せても思うような効果は得られません。
自社にあった求人媒体を選択することで、短期間で良い人材の確保が行えます。
求人原稿には、求めている資格や経験、業務内容、職場環境を具体的に記載したり入社後のキャリアについて記載したりすることで、効果的な求人原稿になるでしょう。
人材紹介会社を利用するか見直す
人材紹介会社の成功報酬は高額ですが、経験豊富な即戦力の人材を確保したい場合といった、競争率の高い求職者を採用する際には、人材紹介会社の利用が適しています。
人材紹介会社に依頼することで「採用担当者の業務量の軽減」ができるうえ、プロに依頼することで「採用時のミスマッチも防げる」メリットがあるため、検討しましょう。
選考プロセスを効率的にする
選考プロセスのひとつである会社セミナーや就職説明会への宿泊交通費や社内の採用担当者の人件費も、内部コストとして採用コストに含まれます。
面接回数を減らしたり、面接をオンラインで行ったり、評価基準を明確にしたりすることで、選考プロセスを効率的に行え、結果採用コストの削減につながるでしょう。
自社サイトの活用・内容を充実させる
多くの求職者は求人に応募する際に、応募先の企業サイトを確認し、より詳細な情報を得ようとするでしょう。
自社サイトは求人サイトと異なり自由に作り込めるため、求人サイトには載せきれなかったアピールポイントや業務内容を記載できます。
自社サイトを充実させることでより自社にあった人材に出会え、採用コストの削減が期待できるでしょう。
薬剤師の採用コストを抑える求人サイト
ここからは採用単価を削減できる無料求人サイトと、薬剤師採用に特化した求人サイトについて説明します。
採用単価を削減できる無料求人サイト
Indeed(インディード)
求人掲載を行う場合は、ユーザー数の多い求人サイトから順に掲載した方が効果的です。
Indeedは、世界No1の求人検索エンジンで、日本における訪問者数も月間4,000万人以上と多いため、無料の求人掲載でも高い効果が望めるでしょう。
キーワードと勤務地の掛け合わせで検索が可能なため、求職者も検索で希望の転職先に辿り着きやすくなっています。
アカウントの開設も簡単で、投稿から最大72時間程度で審査が完了し、求人掲載ができるスピーディさも特徴です。
求人ボックス
求人ボックスは月間訪問者数800万人と国内最大級の求人検索エンジンで、運営会社は食べログを運営する株式会社カカクコムならではの、日本人が使用しやすいシンプルかつ充実した設計になっています。
幅広い地域や雇用形態が掲載されており「こだわり条件検索」では求職者が時給や勤務時間など、さまざまな希望からの検索が可能です。
Googleしごと検索(Google for Jobs)
Googleしごと検索は、検索エンジンのGoogleが提供している検索サービスです。
Googleしごと検索に求人情報を掲載する方法は、「自社のWebサイトにIndexing APIを追加する」方法と「Googleの求人情報検索に対応している求人サイトを使用する」方法の2つです。
求職者はGoogleの検索エンジンに「薬剤師 求人」などと入力し検索するだけで求人情報の確認ができます。
Googleしごと検索に求人情報を掲載し、求職者がGoogleで検索すると、Indeedなどの求人サイトよりも上位に表示されるため、求職者の目に留まりやすくなるでしょう。
スタンバイ
スタンバイは取り扱い求人件数1,000万件以上の国内最大級の求人検索サイトです。
スタンバイはYahoo! JAPANと連携しているため、スタンバイに掲載した求人情報は同時にYahoo!しごとカタログにも掲載されます。
1つの求人掲載で2箇所に掲載できると採用担当者の手間が減り、採用効果が高くなることが期待できるため、おすすめです。
ハローワークインターネットサービス
ハローワークは全国に544箇所あり、ハローワークの附属施設で集めた求人情報も掲載されています。
国が運営しているため、世代問わず知名度も高いのが特徴です。
2020年にサイトのリニューアルが行われ、求職者も求人情報の検索がしやすくなりました。
すべて無料で利用できるため、無料の求人掲載を行いたい企業におすすめです。
薬剤師採用に特化した求人サイト
薬キャリ
薬キャリ公式サイトによると、薬キャリの薬剤師登録者数はNo1、利用者満足度95%、薬剤師求人数5万件以上と薬剤師の転職サイトでは国内最大級となっています。
医療従事者の中で認知度が高いエムスリーキャリア株式会社が運営していて、勤務地・業種・雇用形態での掛け合わせ検索も可能という操作性の高さが、多くの求職者が利用する理由でしょう。
利用者数が多いため、短期間で薬剤師の採用活動を行いたい企業におすすめです。
ファーマキャリア
ファーマキャリアはひとりひとりに合わせたオーダーメイド型で、専用のコンサルタントが転職活動をサポートしてくれます。
面接の日程調整や求職者との連絡はファーマキャリアが代わりに行ってくれるため、人事担当者の負担軽減も期待できるでしょう。
ファーマキャリアのほかに薬剤師向けの求人サイトも運営しているため、より多くの薬剤師にアプローチできるのも特徴です。
マイナビ薬剤師
マイナビ薬剤師は株式会社マイナビが運営する薬剤師専門の転職サイトで、業界トップクラスの求人数を誇っています。
採用が決定するまで費用がかからない、完全成功報酬制です。
医療業界を熟知したキャリアアドバイザーが自社に適した人材を選定してくれるため、ミスマッチが起きにくくなっています。
ファルマスタッフ
ファルマスタッフは、600万円以上の高給与案件の求人数が1万件以上、土日祝休みの求人数が約4,000件といった好条件の求人情報を数多く扱っていて、薬剤師転職支援22年と長い歴史がある薬剤師専門の人材サービスです。
教育や研修にも力を入れており、働き方も正社員以外にも人材派遣や紹介予定派遣などがあり、企業が求める採用方法が選べます。
お仕事ラボ
お仕事ラボ公式サイトによると、利用者満足度90%以上、定着率は95.6%と高水準です。
転職後もサポートがあるため、転職時だけでなく転職後も安心して働くことができます。
企業と求職者のミスマッチが起きないように、キャリアアドバイザーが直接交渉するなど、マッチングにも力を入れているのが特徴です。
まとめ
薬剤師の採用コストは、ほかの職種と比較しても高額になりやすいのが現状です。
今の採用方法や求人サイトは自社に見合っているのか、ほかに効果的な方法はないのか、といった削減できるポイントを探ることで費用を抑えることができます。
この記事を読んで、採用コストを抑えつつ、良い人材を確保しましょう。
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※この記事は、2022年11月現在の情報を元に作成しております。