リクルーティングコラム
採用活動でただ求人広告を入稿するだけでは、期待した成果が得られない場合があります。
その場合は自社の採用活動を振り返り、求人への応募者数や求人の閲覧数といったさまざまな採用に関するデータを分析することで、採用活動の改善点を洗い出すことが可能です。
この記事では採用活動をデータ分析して得られるメリットを踏まえて、採用活動におけるデータ分析のやり方を紹介します。
採用活動にデータ分析を用いる3つのメリット
採用活動でデータ分析を行うと得られるメリットとは、どのようなものでしょうか。
ここからは、データ分析をすることで得られる2つのメリットをみていきましょう。
採用の効率化ができる
採用活動をデータ分析することで、直感的に採用活動の課題を把握できます。
求人広告の入稿から人材を1人採用するまでの流れから「どこに時間がかかったのか」「どのような問題でつまづいたのか」などの採用活動をする上で効率が悪かった部分が浮かび上がってくるため、課題点の洗い出しが容易にできるのです。
業務上の問題だけではなく、応募してくる人材の年齢層や性別、昇進志向やプライベート重視といった就職における方向性など、応募者のデータも得られます。
応募者のデータを分析することで、自社が求める人材からの応募が増えるように採用方法を調整した際に「希望する人材から自社求人が見られているか」「希望する人材からの応募が増えているか」といった効果の確認もできるのです。
採用活動をデータ分析すれば、採用業務の効率化や採用活動スピードの促進につながるでしょう。
経費の削減ができる
採用活動では、以下のようなコストが発生します。
・採用イベントでかかった費用
・1人当たりの採用単価
それぞれ発生した費用と採用における効果を照らし合わせることで「どこに無駄な費用が発生しているのか」「もっと安く済ませるサービスがあるか」といった経費を削減できるポイントを割り出すことができます。
求人広告や採用エージェントの利用にかかった金額や、採用イベントにかかった費用など、企業によって割り当てられる予算に違いはあるものの、できる限りコストを抑えて良い結果を出すためにも、採用活動における費用対効果の分析は重要です。
全体的にかかった採用費用が分かれば、現状の採用活動における「全体の総採用費用÷採用人数」の計算式で1人当たりの採用単価も計算できます。
分析すべき6つの採用データ項目
採用活動におけるデータ分析のメリットが分かったところで、採用活動のどこをデータ分析すべきかをみていきましょう。
ここからは人材1人を採用するまでにどのようなポイントに注目するべきなのか、データ分析する項目を6つ紹介します。
応募数・応募経路
集まった応募者がどの経路から選考に参加したのか、経路ごとの応募者数を確認して応募率を算出しましょう。
応募者数と応募経路を分析することで、支払った経費や使った時間に対して費用対効果が高かった経路や、自社に合った人材を確保しやすい経路を割り出すことができます。
分析する項目は以下の通りです。
・求人広告、自社採用サイトなどの総PV数
・全体の総応募数
・職種別の応募数
応募経路は、求人広告、大学の就職課、採用エージェント、ハローワーク、自社求人サイトなどが挙げられます。
加えて会社説明会の実施数や会社説明会からのエントリー数、オンライン・オフラインイベント各種からの応募数、合同説明会からの応募数も洗い出しましょう。
採用エージェントを利用しているなら、「どの担当者から紹介された人材を採用できたか」「費用対効果が高かったサービスはどこか」といったデータが得られます。
「どのような人材がどのようなルートで応募してきたのか」「どのような応募経路からの人材の採用率が高かったか」などを数値で割りだせば、自社に合った人材の応募者がどのような経路から応募してくるのかが分かるのです。
選考プロセス
選考フェーズでの進捗、歩留まり率を割り出しましょう。
歩留まりとは「製造業など生産全般において、原料や素材の投入量に対して実際に得られた生産数量の割合」のことで、採用活動における歩留まりとは「応募⇒選考⇒内定⇒内定承諾」という採用フローの中で、各過程に進んだ人数の割合を指します。
例えば、書類選考通過者が5人で書類選考の応募者数を10人とすると、書類選考の歩留まり率は50%です。
分析を行う選考フェーズや分析すべき数値、選考データの例として一般的なのは以下の通りになります。
・会社説明会
・書類選考
・筆記試験
・1次選考
・2次選考
・最終面接
・エントリー数
・辞退数
・合否数
・音信不通者数
・内定承諾数
・内定後辞退率
・内定式や内定者向けイベント実施数と参加率
・職種ごとの歩留まり数
・面接官ごとの採用決定率
・辞退数
・地域ごとの一次選考から最終選考までの推移
採用における歩留まりはなるべく少ない方が理想的ですが 「他社からの内定が速かった」「求人の掲載内容と実際の状況に乖離があった」「社風が合わないと感じた」といった理由から、発生してしまうものです。
ただ歩留まりが悪いという分析だけでなく、採用プロセスにおいてどの部分の歩留まりが悪かったのかを割り出すことが重要になります。
例えば、2次選考合格者の人数から最終面接に進んだ人数の歩留まりが悪かった場合「面接日は設定したが当日来なかった」「面接前に辞退の連絡がきてしまった」など、応募者側の都合で辞退してしまうことが考えられるでしょう。
この場合、「最終面接まで進んでもらう」という課題解決のためには、応募者に対して将来のキャリアイメージや自社の働きやすさのアピールなどの入社の動機付けを行うよう訴えることがポイントとなります。
「採用プロセスごとの歩留まりは原因と改善の方法がさまざまであるため、まずどこで歩留まりが発生しているのかをデータ分析から読み解くことで、スムーズに課題の割り出しができるのです。
採用コスト
歩留まりとは「製造業など生産全般において、原料や素材の投入量に対して実際に得られた生産数量の割合」のことで、採用活動における歩留まりとは「応募⇒選考⇒内定⇒内定承諾」という採用フローの中で、各過程に進んだ人数の割合を指します。
採用コストは大まかに「外部コスト」「内部コスト」の2つに分けられ、それぞれ「どこに対して発生したコストか」で区分けされる仕組みです。
外部コストと内部コストには、以下のようなコストが挙げられます。
・求人媒体への掲載費用
・人材紹介で採用に成功した際の成果報酬金
・ダイレクトリクルーティングの利用料
・自社の採用ページやサイトやパンフレットなど採用ツールの制作費
・面接時に求職者に支払う交通費
・オンライン面接ツールの利用費
・採用担当者が採用活動全般における人件費
・配属部門責任者や役員が面接に充てる時間
・社員が採用に費やす時間を人件費換算したもの
・リファラル採用における社員へのインセンティブ
採用コストを正しく管理し把握することは、採用活動全体をマネジメントしていく上で必要なポイントです。
採用活動上で「どこに」「どれくらい」の負担や時間、コストがかかっているのか把握しておくことが、データ分析を行う上で重要となります。
採用活動で発生したコストを算出することで、費用対効果の悪いものを洗い出し、採用コストの改善につなげることができるでしょう。
※詳しくはこちら【採用単価とは?正社員の採用コストについて詳しく解説】
人件費・採用活動対応時間
人件費や対応時間も採用業務における大きなコストの1つです。
メールの作成や返信、面接日程の調整など、面接対応の時間だけでなく、事前準備に費やす対応時間も分析に含めましょう。
分析対象となる人件費と採用活動対応時間には、以下のものが挙げられます。
・人事担当の数、OBOG訪問やリクルーターとして参加した社員数と対応時間
・求人サイトの営業や採用コンサルなどとの商談時間、スカウト配信の時間工数
上記の人件費や対応時間もすべてコストとして把握し、データを分析することが採用活動の作業をスムーズにしていく上で重要です。
分析した採用データ5つの活用方法
採用活動を分析しても得られたデータを活用できなければ、宝の持ち腐れとなってしまいます。
データ分析で得られたデータを活用するにはどのような方法があるのか、みていきましょう。
費用体効果が高い媒体を把握する
複数の求人媒体を利用している場合、各媒体にかかる総コストだけでなく、費用に対して得られた成果についてもデータ分析を行うことで、求人媒体ごとにどれぐらい費用がかかったのかを可視化することができます。
求人媒体ごとにかかった費用と採用人数を「1媒体にかかったコスト÷採用人数」の計算式で採用コストを算出することで、費用対効果の高い求人媒体がどこかを割り出すことができるのです。
求人媒体Aで発生したコストが200万円、採用人数が2人だった場合:採用コストは100万円
求人媒体Bで発生したコストが80万円、採用人数が4人だった場合:採用コストは20万円
費用対効果が低い媒体については「求人内容を見直す」「有料プランを変更する」といった何らかの改善を行うか、効果の薄いサービスの利用を見直し効果の高いものに絞ることで予算配分も適切になり、採用コストを削減できるでしょう。
選考・内定辞退者を減らす
採用プロセスのどこに辞退者が多いのかをデータ分析から割り出し、どの部分の歩留まりが悪いのかを分析することで、選考辞退や内定辞退を減らすことができます。
歩留まり率の悪い選考プロセスには何らかの課題があると考えられ、歩留まりが悪いプロセスごとに適切なアプローチを行うことがポイントです。
例えば説明会参加から実際にエントリーするまでの歩留まり率が低ければ、説明会を踏まえてエントリーを辞めた人が多いことになり、説明会内容やエントリーへの促し方などを見直す必要があることが分かるでしょう。
歩留まりの悪い部分がわかることで、どこを改善すれば良いのかという採用課題が明確になるため、歩留まり率をコントロールすることは採用を成功させることにつながります。
入社後の早期退職者を減らす
入社後の早期退職者が多い場合、採用した人材とのミスマッチが発生していることが考えられます。
今までに採用に至った人材に関するデータを抽出・分析し、企業にマッチする人材像をあらためて定義することで、早期退職を防ぐことができるでしょう。
厚生労働省が実施した令和2年雇用動向調査「転職入職者が前職を辞めた理由」によると、早期退職する理由には大きく3つが挙げられます。
・仕事内容が合わない
・職場の人間関係が好ましくない
早期退職者が自社を志望した理由を改めて分析し、どのような応募者が早期退職してしまうのかを割り出すことで、ミスマッチを防ぐためにどのような対策を講じればいいのかが分かるのです。
※詳しくはこちら【採用ミスマッチはなぜ起こる?原因とミスマッチを減らす選考方法3つ】
採用する人材の偏りをなくす
採用した人材の特性をデータ分析することで、採用人材の行動特性や性格、業務の処理適性といった人材ごとの特性の偏りをなくすことができます。
複数回の選考を行うとき、採用選考と同じ数だけの選考官と求職者が接触しますが、面接官ごとに価値観や大事にしているものや求職者への印象は異なるでしょう。
同じ求職者を選考しても、Aという面接官が良く評価する一方、Bという面接官は逆の評価を下す事態が起こるのです。
選考においては公平性の観点から、面接官ごとの価値観や印象によって本来自社が必要としていた人材が選考から脱落してしまったり、逆に自社と合わない人材が選考に進んでしまうという事態は避けなければなりません。
公正性を欠いた採用が起こる事態を防ぐためにも、主観にとらわれず、誰が見ても公平な判断が下せる採用基準を作成する必要があります。
PDCAサイクルに沿って検証を行う
PDCAとは「Plan(計画)」「Do(実行)」「Check(評価)」「Action(改善)」の頭文字を取ったもので、計画から改善までの業務を繰り返すことをPDCAサイクルといいます。
採用データを有効活用するためには、仮説を立てて検証を行わなくてはいけません。
採用データを基に改善策を見出しても、予測を立てながら行動していかなければ結果が得られたかどうかの評価を行うことができないため、次々と出てくる課題を改善し続けるためにも、PDCAサイクルの利用は有効と言えます。
データ分析に使えるオススメツール3選
ここからは、データ分析に有効なツールを3つ紹介します。
採用管理システム
採用管理システムとは応募から採用に至るまでのプロセスを、ひとつのシステム上で一元管理できるシステムで、英語では「Applicant Tracking System(ATS)」と呼ばれ、直訳すると「応募者追跡システム」となります。
採用管理システムでは、応募件数や応募者データ、面接日時等の管理ができる以外にも、応募者とのメールのやり取り等もシステム上で済ませることが可能です。
応募者のデータを面接官と共有することもできるため、履歴書のコピーを渡すなどの作業がなくなるだけでなく、面接後の評価や進捗状況を経営陣にシェアすることも簡単に行えます。
最終的に入社した方の応募経路がわかったりと、データを蓄積し分析につなげることができるのも魅力の1つです。
採用管理システムの1つに、HRMOS株式会社ビズリーチが提供する「HRMOS」が挙げられます。
ビズリーチ社が運営する求人媒体「ビズリーチ」や求人検索エンジン「スタンバイ」との連携できる点や、従来担当者が集計していた、媒体別、転職エージェント別の紹介実績や選考通過率なども数値化・グラフによって可視化され、初めてデータ分析を行う人でも簡単に分析できる点が特徴です。
Googleアナリティクス
GoogleアナリティクスはGoogleが提供しているデータ分析ツールで 「ユーザーがどこからサイトを訪れてきているか」「ユーザーによく見られているページはどこか」といった情報を分析できます。
主に自社の採用サイトを所持している場合に用いられ、「採用サイトの閲覧者がどのページに興味を持ったのか」、「どのような導線を経て応募ボタンを押したのか」などが分かるため、採用サイトの改善に役立つでしょう。
ジョブカン
ジョブカンは採用管理システムの1つで、採用サイト作成もできる特徴があります。
誰でも使いやすいシンプルなUIで中途採用やアルバイト採用、新卒採用まで対応でき、複数の求人媒体の採用管理を行うことが可能です。
面接後は面接官がジョブカン採用管理に入力することで、採用に携わる社員全員に結果を共有できます。
まとめ
採用活動を効率化したい場合、データ分析を行うことで改善点を洗い出すことができます。
ただデータ分析を行うだけでなく、分析した結果から分かった課題に対して改善を行うことが重要です。
この記事を参考に、採用活動のデータ分析を始めてみましょう。
採用活動のデータ分析を始めるのであれば、採用管理システムのトルーがおすすめです。
トルーでは、Googleしごと検索など複数の求人情報検索エンジンと連係しており、採用サイトや応募フォームを簡単に作成できるため初心者でも簡単に扱うことができます。
求人検索サイトの広告パフォーマンスを分析できる機能や応募者の管理機能だけでなく、LINE応募や求人票、応募者のCSV一括ダウンロードなども使用できるため、担当者に適した活用が可能です。
データ分析を用いて採用活動の効率化を図りたいなら、トルーの活用を検討しましょう。
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※この記事は、2023年1月現在の情報を元に作成しております。