リクルーティングコラム
国土交通省「トラック運送業の現況について」のデータによると、運送業界はドライバー(運転手)の人手不足で採用が難しいというのが現状です。
この記事では、ドライバーを効率的に採用できるツールの紹介や、ドライバー採用基準を見直す方法について解説します。
本記事を読んで、ドライバー(運転手)の採用成功率を上げる施策を実践していきましょう。
ドライバー(運転手)求人の市場動向
インターネット 、スマートフォンが広く一般に普及したことにより、いつでも好きなときに手軽に商品を購入できるになりました。
厚生労働省の「トラック運転者の長時間労働改善に向けたポータルサイト」によると、通信販売の利用が増えて荷物の配送量が急増した一方、運転手(ドライバー)が不足しているのが運送業界の現状のようです。
それでは、なぜ運転手(ドライバー)が不足していて、ドライバー(運転手)の採用が難しくなっているのか、理由をみていきましょう。
ドライバー(運転手)の求人倍率
「求人倍率」とは求職者に対する求人数の比率を表したもので、求人倍率には「新規求人倍率」と「有効求人倍率」の2種類があります。
「新規求人倍率」は1か月間にハローワーク(公共職業安定所)に届け出をされた求人や求職者の数を元に算出されます。
「有効求人倍率」は「月間有効求人数」(先月から繰り越した求人数に新規で生じた求人数を足したもの)を「月間有効求職者数」(先月から繰り越した求職者数に新規で生じた求職者数を足したもの)で割って算出されるものです。
これらの数値には新規学卒者(新卒)は含まれないので注意してください。
厚生労働省の「トラック運転者の長時間労働改善に向けたポータルサイト」によると、2021年4月時点での運送業界のドライバー(運転手)の採用状況は厳しい人手不足だといわれており、トラック運転者(ドライバー)の有効求人倍率は平成30年の時点で全職業平均より約2倍近い有効求人倍率になっています。
令和2年7月時点の全職業(パート含む)の有効求人倍率が0.97であるのに対し、貨物自動車運転手(パート含む)の有効求人倍率は1.83となっているため、自動車運転の職業は採用が難しい職種であることがわかるでしょう。
なぜドライバー(運転手)の採用が難しいのか
ドライバー(運転手)の採用が難しい理由は主に3つあります。
低賃金
「ドライバー求人サイト ドラEVER」によると、1990年代にはトラック運転手の月収が通常のサラリーマンの月収の倍以上あった時期があり、かつてのトラック運転手の収入は高かったといえます。
しかし、現在の運送業は「残業も多く給料も安くて肉体労働」というイメージが世間に定着してしまいました。
厚生労働省の「令和元年度賃金構造基本統計調査」によると、運輸業に従事する労働者の平均年収は約289万円と言われています。
運転免許の種類(普通・中型・大型)や特殊免許の有無で年収は変化し、大型車や特殊免許の取得者は年収が高くなります。
・大型トラック:457万円
・中小型トラック:417万円
・全産業平均:497万円
長時間労働
総務省の「家計消費状況調査」によると、通信販売やオンラインショッピングが急激に普及し、大型トラックの長時間労働だけでなく宅配便の配達も長時間労働となっています。
実際、厚生労働省の「トラック運転者の長時間労働改善に向けたポータルサイト」によると、全産業の労働時間は令和元年2,076時間なのに対し、中小型トラックドライバーの労働時間は2,496時間、大型トラックドライバーに関しては2,580時間という調査結果が出ています。
理由は、「配達量の急増」と「留守宅への個別の再配達」です。
「長時間労働や残業が多い」という理由で、離職率も高いと言われています。
体力仕事(肉体労働)
ドライバーの高齢化と就業者数の減少の問題は深刻ですが、トラックドライバーにおける高齢化はさらに深刻です。
厚生労働省の「トラック運転者の長時間労働改善に向けたポータルサイト」によると、全産業の就業者の平均年齢が42.9歳である一方、大型トラック運転手の平均年齢は48.6歳と平均より5.7歳高く、中型トラックでも45.9歳と平均より3.0歳高くなっています。
また肉体労働ということもあってか、トラック運転手の女性の進出状況にいたっては2.3パーセントときわめて低くなっています。
ドライバー(運転手)の採用率を上げる見せ方
ドライバー(運転手)の採用は、「給与」や「労働条件」「労働環境」の見せ方を改善するだけで採用率を上げることが可能です。
「採用基準や採用ターゲットの見直し」「未経験者と女性の積極的な採用」「自社の魅力の伝え方」など、労働環境や条件の見せ方を改善する方法を、ここから紹介していきます。
ドライバー(運転手)の採用基準を見直す
ドライバー(運転手)の採用基準の見直しの例には、「未経験者や仕事に必要な資格がない人でも採用し、入社後に育てる」方法などがあります。
また、性別のこだわりを無くすことや、年齢制限を緩和することも、採用状況によっては改善すべき検討課題になるでしょう。
「教育体制の充実」や「女性の雇用推進」は、中長期的な視点で考えれば利益を生み、企業のイメージアップにもつながります。
女性が働きやすい職場環境を整備するためにも、「女子トイレの設置」や「業務の機械化・自動化」を推進して男女の体力差をできるだけ減らすように務めることや、育児や家事をしながらでも働くことができるよう「育児休暇制度や再雇用制度の整備」「女性のキャリアアップの推進」「人事・給与制度の改善」など社内の制度や福利厚生を充実させることも必要です。
このように、求職者のニーズに合わせた採用基準に変更する柔軟さが求められます。
詳しくはこちら→【新卒を育成するか即戦力を中途採用するか?短期・中期の戦略的な人材採用のポイント】
自社の魅力や条件の見せ方を変える
消費者の需要に企業のサービス供給量が追いついていない市場であっても、より良い環境を求めて新しい職場を探しているドライバー(運転者)は少なくありません。
新卒やまだキャリアを決めていない人材に対し自社の魅力を伝えることで、採用の成功率を上げることは可能です。
自社の魅力や労働条件の見せ方を変えるには、具体的に何をすればいいのでしょうか。
これから紹介するチェックリストを使って、自社の魅力や条件について整理してみましょう。
1.業界:業界の安定性、将来性は?
2.会社:会社の安定性、将来性は?
3.商品:商品に強みは?売りやすさは?
4.仕事やりがい:仕事の意義・やりがいは?同業他社と比べると?
5.昇格:昇格スピードは?昇格制度の納得感は?
6.給与:相場と比較して月給・月収・年収は高い?
7.福利厚生:手当ての種類・金額は多い?独自の福利厚生は?
8.休日休暇:休日は多い?有給消化率は?有給は申請しやすい?
9.勤務時間:残業は少ない?周りを気にせず帰れる?
10.人間関係:社内の雰囲気は?仲の良さが伝わるエピソードは?
11.オフィス設備:働く設備・環境は?
12.その他
上記の項目をチェックし、求人情報における自社の魅力や条件の見せ方を工夫することで採用成功率の上昇が期待できます。
ドライバー(運転手)の採用に有効なツール
ここでは、採用が難しいドライバー(運転手)の募集はどのように行うのが効果的なのか、また採用が効率的に進むツールとはなにかご紹介します。
自社採用サイトを活用
自社採用サイトとは
自社採用サイトは採用ホームページとも言われ、自社の採用情報に特化したWebページです。
・文章や写真、動画などコンテンツの数や種類に制限がないため、自社の魅力を余すことなく伝えることができる。
・修正や更新がすぐにできる。
・自社で採用サイトのメンテナンスができるため情報の更新がスムーズに行なえる。
【自社採用サイトのメリット】
・採用コストの削減
・求人検索エンジンを活用した応募者数の増加
・応募者データの有効利用
・採用スピードの向上 など
詳しくはこちら→【求人成功のコツは採用サイトの作成にあり】
自社採用サイトのメリット6選
《応募率の改善が期待できる》
「人事・採用・労働の情報なら人事のミカタ」によると、応募者の約8割が「企業HP」を確認するというデータもあるため、自社採用サイトとIndeed・採用管理システム(ATS)の活用、専門求人サイト(運転手なら「ドラEVER」や「ブルル」など)への求人掲載と組み合わせることによって、より効果的な採用活動を行うことができます。
《狙っているターゲットからの応募を集めやすくなる》
企業自らが設定した条件に合った人材を選んでアプローチ(採用面接や応募者へのメール・電話)できるため、自社の求める人材を採用できる確率が高くなります。
《採用単価を下げられる可能性がある》
自社採用サイトを利用すれば、応募者側が直接企業へ応募することができるようになるため、求人広告を出さずに人材獲得することが可能です。
求人サイトは掲載期間が決まっていますが、自社採用サイトはサイトを閉鎖しない限りずっとインターネット上に残るため、半永久的に求人募集をし続けることができます。
よって、有料求人サイトを利用・更新する必要がなくなり、採用単価を下げることが可能です。
《競合他社との差別化ができる》
自社オリジナルのサイトを作ることができるため、競合他社との差別化が可能です。
「子育てしやすい職場環境」や「リモートワークの活用」など自社の強みに特化することで差別化を図ることができ、自社のブランドイメージの確立にも役立ちます。
《デザインを好みにカスタマイズできる》
自社の社風に適したサイト構成にできるため、求職者に自社のブランドをイメージしてもらいやすくなります。
求人サイトを活用しているだけでは他の企業との違いを求職者に理解してもらうのが難しいこともありますが、自社の採用サイトがあるとその会社がどのような人材を求めているのか理解しやすくなり、積極的な応募につながる可能性が高くなるのです。
《ミスマッチを防げる》
自社採用サイトを導入することで自社の社風や社員の雰囲気をあらかじめ応募者に伝えることが可能になり、自社の雰囲気にあった人材を採用することができるため、ミスマッチを防ぐことにつながります。
詳しくはこちら→【話題の自社採用とは|成功に導く3つの採用手法とメリットデメリット】
採用管理システム(ATS)を活用
採用管理システム(ATS)とは応募から採用までの業務を一元管理するシステムで、人事担当者の採用業務の効率化が期待できるシステムのことです。
採用管理システム(ATS)にはさまざまな種類があり、どの採用管理システムを導入するかは、「募集する人の職種」や「使用する求人媒体」「採用予算などの採用戦略」に合わせたものを選びましょう。
採用管理システム(ATS)の代表的な機能は以下です。
・募集サイトの作成
・募集広告の管理
・面接日程の調整
・応募者データとコミュニケーション機能
・分析のためのデータ出力
採用管理システム(ATS)を使えば、応募者との採用プロセスの管理や課題の抽出などを迅速に行なうことができ、効率アップが期待できるでしょう。
詳しくはこちら→【採用管理システムとは?利用するメリットやサポートする機能の例を紹介】
ドライバー(運転手)の採用に有効な求人サイト
最後に、ドライバー(運転手)の採用に有効な求人サイトを紹介します。
無料掲載ができる求人サイトもあるため、よく確認しておきましょう。
ドラEVER
【特徴】
・日本全国の職業運転手(ドライバー)の約90%が登録
・日本最大級の運転手(ドライバー)求人専門サイトで、15万人以上が利用(2020年時点)
・求職者は給与・地域・雇用形態などをすぐに検索できるだけではなく、スカウト機能を利用すれば運転手(ドライバー)を即日採用可能
【料金】
月額40,000円~
ブルル
【特徴】
・スマートフォン専用サイトがあり、月間7万人以上が利用(2018年2月時点)
・運転手(ドライバー)向けのお役立ちブログなどのコンテンツを多数配信
・Indeedや日本全国のハローワークに掲載された求人情報は「ブルル」にも自動転載
【料金】
月額で85,000円~
トラックマンジョブ
【特徴】
・トラックドライバーのための求人情報サイト
・求人原稿を初回掲載時に限り、代行で原稿作成してくれる
・募集情報の変更も管理画面で簡単にできる
【料金】
成功報酬型の料金形態(採用時の成功報酬は1採用に付き200,000円)
ドライバーズワーク
【特徴】
・掲載求人件数1641件(2021年4月時点)のタクシー運転手専門の求人サイトで、トラック運転手専門のサイトも併設
・業界専門のキャリアアドバイザーが候補者の適性や希望をヒアリング、入社後のサポートも充実、万が一早期退職した場合は返金可能
【料金】
要相談(詳しくはドライバーズワークのHPまでお問い合わせ)
ドライバージョブ
【特徴】
・累計25,000人以上の運転手(ドライバー)が登録している
・毎月3,000名の新規登録がある
・平均0.5ヶ月のスピード採用を実現
・定着率も95パーセントと非常に高い
【料金】
要相談(詳しくはドライバージョブのHPまでお問い合わせ)
ドッド
【特徴】
・ドッドの求人サイトのリピーター率は70パーセント
・介護・福祉専門サイト(介護タクシー)でのドライバー求人のPRが可能
【料金】
要相談(詳しくはドッドのHPまでお問い合わせ)
Driver Career(ドライバーキャリア)
【特徴】
・物流業界に特化した就職・転職サービス
・成果報酬型なので内定が決まるまで無料
・他社の知られずに採用活動ができる
【料金】
要相談(詳しくはDriver CareerのHPまでお問い合わせ)
ジョブコンプラスD
【特徴】
・総合求人サイト(飲食・事務・営業・ドライバーなど)と違い、運転手(ドライバー)の仕事に興味がある人に絞って求人広告を展開
・大型・バスドライバー・軽貨物ドライバーなど幅広い職種、ターゲットに対応
【料金】
月額110,000円~
ノルワークス
【特徴】
・候補者へのスカウトを0円(無料)で代行
・ノルワークスはドライバー専門求人サイトで月間閲覧数340,000PV
・ユーザー数/月間84,000人
・取引企業数8,000社以上の実績がある
【料金】
要相談(詳しくはノルワークスのHPまでお問い合わせ)
ドラコムネット
【特徴】
・トラックドライバー専門の求人サイト
・トラックドライバーはもちろん軽トラック・ワゴン車・トレーラーなどドライバーに特化
・お申し込み日から即日掲載が可能
【料金】
月額33,000円(税込)~
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詳しくはこちら→【Indeed無料掲載とは|有料掲載との違いやメリットデメリット】
まとめ
ドライバー(運転手)の不足は年々進んでいき、2027年には24万人のドライバー不足が懸念されています(国土交通省「トラック運送業の現況について」より)。
自社で長く働いてくれるドライバーを採用することは、今後さらに難しくなるかもしれません。
自社採用サイトや運転手(ドライバー)専門の求人サイト・Indeedの無料掲載などを活用しながら、運転手(ドライバー)採用の効率化に取り組んでいきましょう。
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※この記事は、2021年5月現在の情報を元に作成しております。